――彼女(ALICE)の死は、十三の神々の総意により決定した《真実》である。


同じ顔したふたりの「アリス」。
「彼」の身体は死に、「彼女」の身体は生き、
生きし「彼女」は「彼」を助けるため、その容れ物を「彼」に譲った。

「彼女」の容れ物に入った「彼」は、「彼女」を助けるために神を頼った。

どうか願いをきいて欲しいと。
血に濡れようと叶えてみせると。


これより語るはひとつの死を巡る神話。
《真実》である「彼女」の死を、取り消さんとする「彼」の話――。
 これより語るはひとつの巡る死の神話。
 《真実》である「彼」の屍を、甦らせんとする「アリス」の話――。




作品内参考・出典

新潮文庫『不思議の国のアリス』 ルイス・キャロル 著 矢川澄子 訳
新潮文庫『鏡の国のアリス』 ルイス・キャロル 著 矢川澄子 訳
日本評論社『ルイス・キャロル解読―不思議の国の数学ばなし』 細井勉 著